遺言の方式

こんにちは。のじま行政書士事務所の野嶌(のじま)です。

今日は、「遺言の方式」についてのお話です。

 

1 遺言の方式とは何か

 遺言は、民法の定めた方式にしたがって行わなければならず(民法960条)、方式に違背した遺言は無効です。

 

2 遺言の方式の種類

 遺言は、まず「普通方式遺言」と「特別方式遺言」に分けられ、普通方式遺言は「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」に分けられます。また、特別方式遺言は「危急時遺言」と「隔絶地遺言」に分けられます。

遺言の方式1

3 普通方式遺言

(1) 自筆証書遺言

 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を「自書」し、これに印を押さなければなりません(民法968条1項)。他人による代筆や、ワープロなどの機械を用いて作成された遺言は無効です。また、自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して、これに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力がありません(民968条2項)。訂正の効力が生じないのであって、遺言そのものが無効になるわけではありません。

 

《自筆証書遺言の要件に関する判例》

①自筆証書遺言が数通にわたるときでも、全体として1通の遺言書として作成されたものであることが確認できるならば、契印がなくてもよいし、その日付、署名、捺印は1通にされていれば足りる(最判昭36.6.22)。

②「昭和41年7月吉日」と記載されている自筆証書遺言は、日付の記載を欠くものとして無効である(最判昭54.5.31)。

③自筆証書遺言における押印は、遺言者が印章に代え、拇印・指印をもって足りる(最判平元.2.16)。

④「氏名」という以上、姓と名が記載されるのが原則であるが、遺言者が誰であるかを知ることができ、他人との混同が生じない場合には、氏又は名のみでよい(大判大4.7.3)。ペンネームや通称でも遺言者を特定できるのなら遺言は有効である。

⑤カーボン紙を用いることも自書の方法として許される(最判平5.10.19)。

⑥加除訂正に方式違反があっても、遺言書の記載自体から明らかな誤記とわかる場合には、遺言者の意思を確認するについて支障がないため、効力に影響を及ぼさない(最判昭56.12.18)。

 

(2) 公正証書遺言

 公正証書によって遺言をするには、以下の方式に従わなければなりません。

①証人2人以上の立会いがあること。

②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
 口がきけない者が公正証書によって遺言するには、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して「口授」に代えなければなりません。

③公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧させること。
 遺言者又は証人が耳が聞こえない者であるときは、公証人は、筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、「読み聞かせ」に代えることができます。

④遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができます。

⑤証人が、その証書は①から④に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

 

(3) 秘密証書遺言

秘密証書によって遺言をするには、以下の方式に従わなければなりません。

①遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。

②遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもって封印すること。

③遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。遺言の内容に触れる必要はありません。
 口がきけない者が秘密証書によって遺言するには、遺言者は、公証人及び証人の前で、その証書は自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を通訳人の通訳により申述し、又は封紙に自書して「申述」に代えなければなりません。

④公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

 

(4) 秘密証書遺言の転換

 秘密証書による遺言は、その方式に欠けるものがあっても、自筆証書遺言の方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有します(民法971条)。自筆証書遺言の方式に適合しているのであるから、自筆証書遺言として有効なことは民法971条の規定によらずとも当然のことであり、同条は注意的に規定されたものです。

 

(5) 証人又は立会人の欠格事由

①証人
 証人とは、遺言の内容を聞知し、遺言が遺言者の真意に出たことを証明する者です。

②立会人
 立会人とは、遺言の成立の事実を聞知し、証明する者です。

③欠格事由
 次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができません(民法974条)。

①未成年者

②推定相続人、受遺者及びその配偶者並びに直系血族

③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び使用人

 

(6) 共同遺言の禁止

 遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることができません(民法975条)。

典型的には夫婦が同一の書面で互いに先に死亡した者が遺贈をする旨の遺言をする場合です。このような遺言は、複雑な法律関係を生じさせるだけでなく、遺言の撤回の自由が奪われるからです。したがって、同一の書面による遺言でも、容易に切り離すことができ、それぞれ独立の遺言として成立するような場合には有効です。

 

4 特別方式遺言

(1) 特別方式遺言の種類

 特別方式遺言は、危急時遺言と隔絶地遺言があり、危急時遺言は「死亡危急時遺言(民法976条)」と「船舶遭難者遺言(民法979条)」が、隔絶地遺言は「伝染病隔離者遺言(民法977条)」と「在船者遺言(民法978条)」があります。

 

(2) 遺言者の生存による遺言の失効

 特別方式遺言は、遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から6か月間生存するときは、その効力を失います(民法983条)。

遺言の方式と立会人

遺言の方式2

 

今日のお話はここまで。

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野嶌 孝文(のじま たかふみ)

 

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